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構造と 疑問表現の諸形式上 日本語とベトナム語における 問いかける 疑問文の比較対照 ―疑問詞疑問文を中心に― = SO SÁNH đối CHIẾU các LOẠI câu hỏi CHÍNH DANH TIẾNG NHẬT và TIẾNG VIỆT TRÊN PHƯƠNG DIỆN cấu TRÚC và PHƯƠNG THỨC BIỂU HIỆN TRỌNG tâm câu hỏi có đại từ NGHI vấn

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ハノイ国家大学外国語大学
日本言語文化学部
----------

卒業論文
構造と疑問表現の諸形式上
日本語とベトナム語における問いかける疑問文の比較対照
―疑問詞疑問文を中心に―
SO SÁNH ĐỐI CHIẾU CÁC LOẠI CÂU HỎI CHÍNH DANH
TIẾNG NHẬT VÀ TIẾNG VIỆT TRÊN PHƯƠNG DIỆN
CẤU TRÚC VÀ PHƯƠNG THỨC BIỂU HIỆN
-TRỌNG TÂM CÂU HỎI CÓ ĐẠI TỪ NGHI VẤN-

学生氏名: TRẦN QUANG LINH
クラス: QH2017.F1.J1
指導教師: 修士 VŨ THỊ PHƯƠNG CHÂM

ハノイ, 2021 年 6 月


ハノイ国家大学外国語大学
日本言語文化学部
----------

卒業論文
研究テーマ:
構造と疑問表現の諸形式上
日本語とベトナム語における問いかける疑問文の比較対照
―疑問詞疑問文を中心に―
SO SÁNH ĐỐI CHIẾU CÁC LOẠI CÂU HỎI CHÍNH DANH
TIẾNG NHẬT VÀ TIẾNG VIỆT TRÊN PHƯƠNG DIỆN


CẤU TRÚC VÀ PHƯƠNG THỨC BIỂU HIỆN
-TRỌNG TÂM CÂU HỎI CÓ ĐẠI TỪ NGHI VẤN-

学生氏名: TRẦN QUANG LINH
クラス: QH2017.F1.J1
指導教師: 修士 VŨ THỊ PHƯƠNG CHÂM

ハノイ, 2021 年 6 月


分説

筆者はここに、この卒業論文で得られた結果は筆者自身の仕事であり、他人によってコピ
ーされたものではないことを宣言する。 論文の全内容において、提示されたものは個人的
なものであるか、多くの情報源から合成されたものである。 すべての参考文献は合法であ
り、適切に引用されている。
筆者は全責任を負い、誓約に定められたすべての懲戒処分を行う。

ハノイ、2021 年6月より

筆者
TRẦN QUANG LINH


概要

本研究は、、「日本語とベトナム語における問いかける疑問文の構造と疑問表現の諸形式
上比較対照―疑問詞疑問文を中心に」というテーマのもとに、問いかける疑問文の実際の
運用に着目し、問いかける疑問文の構造と疑問表現の諸形式を比較して論を展開していく。
本研究の主体を「日本語とベトナム語における問いかける疑問文の定義と分類」と「日本語

とベトナム語における疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式上比較対照」という 2 部に
分ける。 第1章では、日本語とベトナム語における疑問文に関する先行研究を整理した上
で、日本語とベトナム語における疑問文の定義、分類、疑問詞の諸概念について紹介する。
第 2 章では、日本語とベトナム語における問いかける疑問文のそれぞれの定義と分類を整
理する。第 3 章では、日本語とベトナム語における疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形
式の要素を整理する。 第 4 章では、構造と疑問表現の諸形式上日本語とベトナム語にお
ける疑問詞疑問文の比較対照を行う。


謝辞

本論文は 、 多くの方々のご指導とご支援により 、 完成したものです。この場を借り
て、感謝の気持ちを表したいと思います。
まず、研究の最初の基本と進路は、ハノイ国家大学外国語大学の日本言語文化学部の教師
である Vũ Thị Phương Châm 先生から親切で熱心なご 指導を頂きました。先生はいつも
色々とお心遣いをしてくださいました 。 今までのご指導、ご恩に対して、改めて厚く御礼
を申し上げます。
大学3年生から研究方法を教えていただき、日ごろからお世話になっているハノイ国家大
学外国語大学の日本言語文化学部の Đỗ Hoàng Ngân 先生にご指導とご助言をいただいたこ
とを、心より感謝申し上げます 。
そして、日本語の疑問文の知識と日本語の論文の書き方では、1 年間留学した金沢大学人
間社会学域国際学類で指導教師として多くのご助言を頂きましたの加藤和夫先生に厚く御礼
を申し上げます。また、 毎回のゼミで 貴重なコメントをくださった加藤ゼミの皆様に深く
感謝しております。
最後に、いつも温かく支えてくれた家族と友達に心より感謝いたします。


―目次―
序論 ............................................................................................................................................ 1
1.研究の重要性................................................................................................................... 1

1.1

実用的な重要性 .......................................................................................................... 1

1.2

学術的な重要性 .......................................................................................................... 1

2. 研究目的 ......................................................................................................................... 2
3.研究対象 .......................................................................................................................... 3
4. 調査範囲 ......................................................................................................................... 3
5. 研究方法 ......................................................................................................................... 3
6.

本論の構成 .................................................................................................................... 4

第 1 章 疑問文に関する先行研究の概観と本研究の立場 ........................................................ 6
1.1

日本語における疑問文に関する研究............................................................................. 6

1.1.1 日本語における疑問文の定義 ................................................................................. 6
1.1.2 日本語における疑問文の分類 ................................................................................. 8
1.1.3 日本語における疑問詞 ............................................................................................ 9
1.2

ベトナム語における疑問文に関する研究 ................................................................... 10

1.2.1 ベトナム語における疑問文の定義........................................................................ 10
1.2.2 ベトナム語における疑問文の分類........................................................................ 12

1.2.3 ベトナム語における疑問詞................................................................................... 13
1.3

本研究の立場 ............................................................................................................... 13

1.3.1 疑問文の定義......................................................................................................... 13
1.3.2 疑問文として取り扱う範囲と用例の収集............................................................. 14
第2章 日本語とベトナム語における 問いかける疑問文の定義と分類 ............................... 16
2.1

問いかける疑問文の定義 ............................................................................................. 16

2.2

問いかける疑問文の分類 ............................................................................................. 17

2.2.1 日本語における問いかける疑問文の分類............................................................. 17
2.2.2 ベトナム語における問いかける疑問文の分類 ..................................................... 20


2.3

まとめ .......................................................................................................................... 23

第3章 日本語とベトナム語における 疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式 ................ 24
3.1

日本語における疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式.......................................... 24

3.1.1 構造と疑問表現の諸形式 ...................................................................................... 25

3.1.2 前仮定.................................................................................................................... 26
3.2 ベトナム語における疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式................................. 27
第 4 章 日本語とベトナム語における 疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式比較対照 . 29
4.1

人々について尋ねる疑問詞 ......................................................................................... 29

4.2

ものと行動の対象について尋ねる疑問詞 ................................................................... 30

4.3

分類について尋ねる疑問詞 ......................................................................................... 32

4.4

原因について尋ねる疑問詞 ......................................................................................... 33

4.5

場所と動きについて尋ねる疑問詞 .............................................................................. 33

4.6

物の性質や特性について尋ねる疑問詞 ....................................................................... 34

4.7

内容や手法について尋ねる疑問詞 .............................................................................. 35


4.8

方法または様子について尋ねる疑問詞 ....................................................................... 35

4.9

程度や数量を尋ねる疑問詞 ......................................................................................... 36

4.10 時を尋ねる疑問詞 ...................................................................................................... 36
4.11 まとめ ........................................................................................................................ 37
結論 .......................................................................................................................................... 39
今後の課題 ............................................................................................................................... 41
参考文献 ................................................................................................................................... 42
付録 .......................................................................................................................................... 44


序論

1.研究の重要性

1.1 実用的な重要性

日常会話では、われわれは様々な言語形式で情報を伝達したり、情報を要求したりする。
そのうち、疑問文は言語形式の 1 つとして多用されている。
調べた結果、英語の問いかけ疑問文とベトナム語の問いかけ疑問文を比較する研究がある
ことが分かるかった。それ以来、現在、このテーマに関する研究はあまりないので、日本語
の問いかけ疑問文とベトナム語の問いかけ疑問文の類似点と相違点を抽出する必要があると
思い、そこで私はこの研究を発展させた。このテーマの研究結果は、ベトナム人のために日
本語を教え、学ぶのに非常に役立つと思う。また、これらの結果は、日本語からベトナム語

への、またはその逆の翻訳作業にも実用的である。

1.2 学術的な重要性

現代日本語標準語における疑問文に関する記述研究は、疑問文の定義、分類、意味機能な
どを中心に行なわれており、優れた研究結果が積み重ねられてきた。具体的に言うと、橋本
(1948)などは、疑問文の定義を提案し、国立国語研究所(1960)は最初に疑問表現の諸
形式を類型立てて考察している。
典型的な種類の言語行動の産物としての疑問文は、コミュニケーションと認知において一
般的であり、言語における質問のタイプの中心的な部分である。構造と疑問表現の諸形式に

1


おけるそのような文の研究は、世界で現在発展している研究傾向、すなわち実践状態での言
語の研究と一致している。

2. 研究目的

本研究の最終目的は、以下の四つである。
a.

ベトナム人の日本語学習者が疑問文の用法の誤りを犯さないよう、日本語の疑問文

の特徴を明らかにする。更に、ベトナム語の疑問文の特徴を知ることによってベトナム人日
本語学習者の疑問文の誤用の原因を把握する。
b.

日本語における疑問文のベトナム語に対応する適切な表現を探す。日本語の疑問文


をベトナム語に翻訳する際の困難を軽減し、より良い翻訳の方法を探る。
c. 研究結果は、言語研究の理論的枠組みの妥当性、発見能力、および一般化を確認する
のに役立つ。
d. 本研究は、日本語の疑問文とベトナム語の疑問文のシステムのより完全な認識をもた
らし、日本語とベトナム語の翻訳と教育に直接貢献している。
上に述べた目的以外に、ベトナムでは日本語についての情報がまだ少なく、反対に日本で
はベトナム語についての情報がまだ不足しているため、本稿の成果がベトナムにおける日本
語教育及び日本におけるベトナム語教育の一助となることを望んでいる。また、ベトナム語
日本語相互の対照研究及びベトナム語の文学作品、日本語の文学作品の相互翻訳に貢献でき
ることを期待している。

2


3.研究対象

本研究の対象はベトナム語の問いかけ疑問文と日本語の問いかけ疑問文である。構造と疑
問表現の諸形式の比較の対象は、日本語の疑問詞疑問文とベトナム語の無選択疑問文にな
る。
形式上の特徴から見れば、感嘆文も疑問文の一種であるが、感嘆文と疑問文の間に明確な
線引きを行うことが困難であるため、本研究でいう疑問文は通常の疑問文であり、感嘆文を
研究対象としない。そして、疑問文の疑問詞の使用には、地域差が極めて大きいため、研究
対象を現代日本語標準語の疑問文に限定する。さらに、話し言葉と書き言葉では疑問文の使
用がそれぞれ異なっているため、本研究は、話し言葉に用いられる疑問文のみを取り上げ
る。

4. 調査範囲

研究対象は、構造と疑問表現の諸形式の観点から考察される。比較の範囲は、次の側面に
ある:意味論-語用論。構造-システム;機能-アクティビティ。


5.

研究方法

比較方法:均質/構造的分化; 均一性/機能的分離; 同種/分離された操作。
研究方法の種類:比較分析。 さらに、観察、統計、体系化、およびコントラスト比較も
使用される。

3


本研究は以下の手順にしたがって進める。
1. 先行研究の分析方法を確認する。
これまでの先行研究とそのデータを分析し、それぞれの言語における疑問文の特徴を確認
し、相違点と類似点を抽出する。
2.実例を通して、両言語における疑問詞疑問文を対照比較する。
本研究の研究方法は、研究の対象の基本的な特性と研究の目的によって決定される。これ
らの特徴は次の通りである:コンテキストの変動性、コミュニケーションのトピック、日常
のコミュニケーションの会話、口頭言語;セマンティックの浅いレベルと深いレベルでの多
様性と統合-語用論的情報タイプなど。
さらに、本研究の比較方法は Võ Đại Quang(2000)『Đối chiếu cấu trúc và phương
thức biểu hiện của câu hỏi chính danh trong tiếng Anh và tiếng Việt (tiểu loại câu hỏi có đại
từ nghi vấn)』の比較方法に基づいて行われる。

6.

本論の構成

第1章では、日本語とベトナム語における疑問文に関する先行研究を整理した上で、日本

語とベトナム語における疑問文の定義、分類、疑問詞の諸概念について紹介する。
第 2 章では、日本語とベトナム語における問いかける疑問文のそれぞれの定義と分類を
整理する。
第 3 章では、日本語とベトナム語における疑問詞疑問文の構造と疑問表現の諸形式の
要素を整理する。

4


第 4 章では、構造と疑問表現の諸形式上日本語とベトナム語における疑問詞疑問文の比
較対照を行う。

5


第1章
疑問文に関する先行研究の概観と本研究の立場

本章では、日本語、ベトナム語における疑問文についての概念を紹介する。そして、それ
ぞれの言語での疑問文はどのように扱われているのかについて概観し、本研究の位置づけを
行う。

1.1

日本語における疑問文に関する研究

本部分では、馬穎瑞(2017)の日本語の疑問文に関する従来の研究のまとめに基づいて日
本語における疑問文の諸概念を紹介する。

1.1.1


日本語における疑問文の定義

従来の研究においては、疑問文を形式から定義するものと機能から定義するものに分けら
れる。まず、形式から疑問文をどのように定義できるかについて、橋本(1948)、田野
(1988)、森山(1989)、大鹿(1990)と森川(2009)が挙げられる。
橋本(1948)によると、疑問文は普通、文中に疑問詞を用いるか、文末に疑問の助詞
「か」などを用いるか、あるいは、その両者を用いるかのいずれかである。また、何も用い
なくても、上昇調のイントネーションによって、疑問の意を表すことのあるものも疑問文で
ある。
田野村(1988)は、いわゆる終助詞の「か」で終わる文、および「か」を伴っていない
が、文意に変化を来すことなく「か」を補うことのできる文、「かな(あ)」「かしら」な
6


どで終わる文を疑問文と定義している。また、主たる述語が否定辞「ない」を伴う疑問文を
否定疑問文としている。
森山(1989)は、疑問文は形式的に定義できると述べ、「か」類の終助詞あるいは不定
語がある文を疑問文とみなしている。大鹿(1990)は「疑問文とは、文末に助詞「か」を
持つか、文中に不定詞を持つか、あるいはその両方を持つか(口頭語の場合、上昇調のイン
トネーションが助詞「か」に代わることもある)のいずれかである」と述べている。
森川(2009)は、「日本語の文法では、概ね「文末に上昇調イントネーションを用い
る」「文に特定の助詞(代表的な例としては「カ」)を後接する」「文中に疑問語を用い
る」という 3 つの要件のうち 1 つを満たすと、形式上、疑問表現となる」と述べている。
以上では、田野村(1988)以外、いずれも「「文中に疑問詞を用いる」という条件を満
たす文が疑問文である」と提示している。しかし、取り立て助詞「でも」と非上昇調の文末
イントネーションの使用によって、「何でもいい(↘︎)」というような文は疑問詞「何」を
有しても疑問文ではなく、平叙文と認定されている。したがって、文中に疑問詞があって
も、必ずしも疑問文とは言えない。疑問文の定義を再検討する必要がある。
次に、機能から疑問文の定義について述べているものとして、益岡・田窪(1992)、安

達(1999)、日本語記述文法研究会(2003)と宮崎(2005)を挙げる。
益岡・田窪(1992)では、疑問表現の基本的性格に基づいて、疑問文は、「話し手が相
手に未知の部分の情報を求めたり、自分自身に問いかけたりする表現である」と定義されて
いる。安達(1999)では、疑問文は「対話の相手(聞き手)から情報を引き出すことを機
能としている文ではあるが、疑問文によって情報を相手に伝えるということさえあるの文で
ある」と述べている。日本語記述文法研究会(2003)では、命題に対して話し手の判断が
成り立たないことを表す疑問のモダリティを担う文は疑問文であり、疑問文の中心的な機能
は質問であるが、疑問文の機能は質問に止まらないという。日本語記述文法研究会
(2003)によると、質問には、①話し手に不明な情報があるため判断が成り立たず、②聞
7


き手に問いかけることによって疑問の解消を目指すという2つの基本的性質がある。そし
て、①の性質を欠くのが確認要求の疑問文であり、②の性質を欠くのが疑いの疑問文であ
る。宮崎(2005)は、基本的・典型的な疑問文とは聞き手に情報を要求する文であり、そ
れを「質問文」と呼び、疑問文は単なる判断不成立や情報要求の文ではなく、疑念解消や情
報の共有化を目指す、話し手の主体性にこそ、その本質があるということを指摘している。
以上は、疑問文の基本的で典型的な機能が情報提供の要求を表す「質問」であるという点で
共通している。

1.1.2

日本語における疑問文の分類

疑問文の分類は、「疑問詞の有無」「選択肢の有無」という形式的特徴によって、疑問詞
疑問文(補充疑問文)、真偽疑問文、選択疑問文という 3 つに分けられる。そして、述語
の肯定・否定によって、疑問文を肯定疑問文と否定疑問文という 2 つにも分類できる。
その他には、モダリティの観点から疑問文を分類した仁田(1991)、疑問対象と疑問行
為の動機による分類を提案した吉田(1994)、情報要求の有無による分類を行った森川
(2009)、言語的反応による分類をした林(2016)がある。

仁田(1991)は疑問表現をモダリティの観点から、<疑い><問いかけ>を有している
本来の疑問表現と、話し手が聞き手に自らの要求の実現を働きかけ・訴える、といった<働
きかけ>に移行・派生した疑問表現に分けている。吉田(1994)は、<判定要求/説明要求
>、あるいは<問い/疑い>という疑問文の従来の分類法のほかに、ノデスカ/マスカ両文型
で実現された<問い>の文について、疑問対象の面から<事実/意向/予測>と分類し、疑問
行為の動機の面から<借問/尋問/試問>という分類をしている。森川(2009)は、宮地
(1979)と野田(1997)を参照した上、疑問表現を情報疑問文と非情報疑問文の 2 つのタ
イプに分類し、それぞれを「話し手が疑問の気持ちを聞き手に伝え、それに対する説明や判
8


断などの情報を求めようとするもの」「話し手が聞き手に情報を求めないもの」と定義して
いる。さらに、森川(2009)は、情報疑問文について、「下降調イントネーションを用い
ることもある」「話し手が発話する場面には、ある特定の聞き手が存在する」「聞き手は、
話し手から向けられた林(2016)は、言語行為的側面から、疑問文が相手に何をどのよう
に言わせるかという言語的反応の観点から、疑問文には、「不明項特定要求」「判定要求」
「応諾反応要求」「不明項特定誘発」「判定誘発」「応諾反応誘発」「受け入れがたさの表
明」「不明感表明」「同意表明期待」という下位分類があるとしている。

1.1.3

日本語における疑問詞

加藤(2006)は、疑問詞の機能について議論している。加藤によると、「誰」「何」
「どこ」「いつ」「どれ」などの疑問詞に副助詞の「か」をつけることで、疑問詞の指すも
のを尋ね問う機能がなくなり、不明なままに提示する用法(不定化)になる。例えば、「誰
が来ましたか?」という文は、典型的な疑問詞疑問文であり、「誰」という疑問詞に当ては
まる人の名前を求めている。一方、「誰かが来ましたか?」という文は、「誰」に「か」を
付加することによって、真偽疑問文となり、「はい/いいえ」という肯否を求めている。
疑問詞と文末詞との共起について議論している先行研究として、渡邊・赤澤(2008)と

森川(2009)が挙げられる。
渡邊・赤澤(2008)は、「か」の有無が疑問語疑問文 5 の容認度に関わっていることを
論じている。「誰が来る↑」「誰が来るの↑」「誰が来ますか↑」「誰が来ます↑」が文し
て容認されるが、「誰が来るか↑」「誰が来るのか↑」のような「か」の直前に「です/ま
す」がない情報疑問語疑問文は、文末上昇調イントネーションを伴う場合、文として容認さ
れないという。それに対して、「僕はどこへ行こうか↑」のような「か」の直前に「です/
ます」がない指令疑問語疑問文 6 において、↑は丁寧さを表さず、「僕はどこに行こう
9


か」のような指令疑問はぞんざいな表現ではないため、不整合が生じず、適格となると述べ
ている。
「問いに対する答えを知っていることもあれば、知らないこともある」という 3 点が前
提となっていると提示している。非情報疑問文を聞き手の存在が前提となる聞き手顕在型
と、聞き手の存在が前提とはならない聞き手非顕在型に分けて、反語表現(修辞疑問文)と
勧誘の「カ」で終わるものが聞き手顕在型であり、疑問型情報受容文(自問文)が聞き手非
顕在型であるとしている。そして、森川(2009)は、森山(1992)での「疑問型情報受容
文」という用語を援用しているが、このような文特定の聞き手を想定するものではなく、自
分自身に向けて発せられた自問文として考えることができると述べている。
森川(2009)は、疑問文と「ダ」の関係を考察して、疑問詞疑問文の場合、「誰が犯人
ダカ?」のような「常体のダ+カ」という形式が非文法的であるが、「誰が犯人ダ?」のよ
うな「常体のダ」のみの形式が文法的であることを指摘している。

1.2

1.2.1

ベトナム語における疑問文に関する研究

ベトナム語における疑問文の定義


話すことはコミュニケーション活動である。各文は特定の機能を持つ行動である。文を言
うとき、話者は命題を確認するという特定の行動を実行するが、同時に、提示、再話、質
問、回答、否定的、肯定的な反論などの特定の伝達目的を持つ行動も実行する。それは言葉
の行為である。従来の考え方は、われわれが文を言うとき、次の 3 つのことのうちの 1 つ
しかできないということである。
1. 説話する
2.問いかける
10


3.要求する
その理由は、多くの言語では、これら 3 つのタイプの文の文法形式に明確な違いがある
ためである。形式に基づいて文章を分類する必要があるが、実際の使用法とは異なるため、
話す目的による分類とは言えない。
ベトナム語の文法全般、特に疑問文を研究するプロセスを要約すると、言語学者は一般に
2 つの見方に影響される。1 番目の見方は、形態―構造基準に基づいて疑問文を記述および
分類する従来の視点である。代表的な言語学者は Nguyễn Kim Thân (1975, 1997), Hồ Lê
(1979), Hoàng Trọng Phiến (1980), Nguyễn Phú Phong (1994), Diệp Quang Ban (1989,
1998)になる。2 番目の見方は、Lê Đông (1994, 1996), Cao Xuân Hạo (2004)の言語行動理
論と会話理論に基づいて、実用的な観点から疑問文を記述および分類する視点である。
Hoàng Trọng Phiến (1980)によると、疑問文は、実現化による文の分類に属する文であ
る。平叙文は実際の文カテゴリに属する場合、疑問文は能力の文カテゴリに属する。どのよ
うな形式であっても、疑問文の内容の中で、それは答えが対処される必要がある「未知のも
の」を明確する。聞き手の合意に達するための質問は修辞疑問文である。疑問文には、「未
知のもの」を整理するための特定の構造がある。主体の目的は、この「未知のもの」に対す
る答えを見つけることであり、回答者は対応する要素を提供することによって回答する。ま
た、質問者と回答者の両方の思考の焦点はその「未知のもの」に集中する。
Cao Xuân Hạo(2004)によると、質問値(通知が必要)に加えて、ベトナム語や他の多く
の言語における疑問文は、その生じるという言葉に価値だが、否定的、肯定的または疑わし

いものなど別の派生語で 1 つ以上の価値があるかもしれない。疑問文は命題に未知のもの
を入れる価値がある。各疑問文には、生じるという言葉に価値があり、これが質問者のツー
ルと目的だ。

11


1.2.2

ベトナム語における疑問文の分類

伝統的な分類によれば、ベトナム語の疑問文は通常、形式と構造に基づいて 3 つのカテ
ゴリに分類される。それは:
1.全体の疑問文(一般的な疑問文)
2.部分の質問(個別の疑問文/特定の疑問文)
3.選択疑問文(用語の疑問文/並行疑問文)
言語研究における語用論的主題の強力な発展とともに言語行動の理論が生まれたとき、
人々は発話の目的、コミュニケーションにおける話者の役割、話者と聴取者の関係にのみ注
意を払う。それ以来、言語学者は一般的な言語、特に疑問文について異なる見解を持って来
る。彼らは、静的で純粋な形式の構造だけでなく、コミュニケーションにおける彼らの活動
に興味を持って、管理の観点からそれらを見る。したがって、疑問文の説明と分類も大幅に
変更された。この傾向の典型的な言語学者の 1 人は Cao Xuân Hạo(2004)である。彼はベ
トナム語で文章を分類するために言語力に依存していた。彼によると、ベトナム語の疑問文
は次のカテゴリに分類される。
1.問いかける疑問文
2.要求の価値がある疑問文
3.肯定の価値がある疑問文
4.否定の価値がある疑問文
5.推測または疑い、躊躇する疑問文
6.感嘆の価値がある疑問文


12


1.2.3

ベトナム語における疑問詞

Cao Xuân Hạo(2004)によると、疑問詞を使用した疑問文は、疑問詞を含む疑問符で識
別されたポイントで質問するために使用される。したがって、文章が話している状況や文脈
から分離されている場合でも、問題点を特定することができる。これは明確なポイントの疑
問文と言える。
Vì sao lại thế?(何故ですか?)
Bao giờ anh đi?(いつ行きますか?)
Tên của anh ấy là gì?(彼の名前は?)
Cái này là cái gì?(これは何ですか?)
一般的な型は次になる:
<疑問文> = <主語> <動詞 " là "> <疑問詞>?
<疑問文> = <指定代名詞><動詞 " là "> <疑問詞>?
<疑問文> = <疑問詞><述語 >?

1.3

1.3.1

本研究の立場

疑問文の定義

疑問文の形式的特徴は、疑問詞の有無、文末形式(終助詞)の使用、文末イントネーショ

ンの上昇・非上昇という 3 つで表される。本研究は、先行研究を参照しながら、疑問文を
「形式上、疑問詞、上昇調の文末イントネーション、文末形式(終助詞「か」など)のいず
13


れかを有することによって、機能的には回答要求を表すものである。」と定義する。しか
し、この定義に従わないものもある。例えば、疑問形式を用いながら、回答要求を表さず、
疑いや反語などを表すものがある。本研究は、まず形式的に文が疑問文であるかどうかを認
定してから、その形式が有している機能の分析を行うという手順をとる。形式上の特徴か
ら、ある文が疑問文であると認定する基準を以下のように提案する。
ア)【文が疑問詞を有している場合】
① 文末形式の使用に関わらず、上昇のイントネーションを伴ったもの。
② 非上昇のイントネーションを伴うことも可能であるが、文末形式の使用には制限があ
る。
イ)【文が疑問詞を有していない場合】
③ 文末形式を用いていないが、上昇調のイントネーションを伴ったもの。
④ 文末形式の違いによって、上昇調のイントネーションと非上昇調のイントネーション
のいずれかを伴ったもの。
本研究は疑問詞疑問文を中心にするため、比較対象はア)【文が疑問詞を有している場
合】の条件を満たす疑問文になる。

1.3.2

疑問文として取り扱う範囲と用例の収集

本研究は、現代日本語標準語における話し言葉として用いられる疑問文を研究対象とし、
疑問文の定義に基づき、本研究で取り扱う疑問文の範囲を規定する。
それに基づいて、本研究の分析対象とするのは話し言葉の疑問文であるため、普段日常生
活で聞き取れた会話を分析の用例に入れると思う。また、日本語の疑問文とベトナム語の疑


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問文を比較するので、バイリンガル本は必要になる。そのため、Thanh Xuân(2017)
「Tuyển Tập Truyện Cười Song Ngữ Nhật Việt」Dân Trí 出版社から用例の収集を行った。

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第2章
日本語とベトナム語における問いかける疑問文の定義と分類

本章では、日本語そしてベトナム語における問いかけ疑問文をとりあげて、考察してみ
る。定義と分類方法についてみてみよう。

2.1

問いかける疑問文の定義

疑問文は言葉での行為であり、言語の価値観に従って分類される。 疑問文は、質問して
回答を要求するように構成される。 それはまた、意味と形の微妙なニュアンスを持つ。 問
いかける疑問文とは、尋ねられる言葉に価値があり、答えを求められる疑問文である。
「質問と回答は密接に関連しており、言語的および社会的行動の普遍的な形態の 1 つであ
る」。
Lê Quang Thiêm(1989)によると、疑問文は 2 つの大きなカテゴリに分類される。問い
かける疑問文と不問い疑問文である。 ここで、問いかけ疑問文とは、疑問文の正しい意味
と正しい目的を使用して情報を見つけ、その情報に答える必要がある疑問文である。 問い
かける疑問文とは、回答が必要な疑問文である。 より具体的には、問いかける疑問文は
「質問者が答えを知らないか、質問者が答えを知りたがっていて、その未知の情報を受け取
るために対話者に頼る」と言う特徴がある疑問文である。 問いかける疑問文は、すべての

言語のすべての疑問文の種類の中核部分になる。
N.Belnap と T.Stil (1981)は、「問いかける疑問文の意味は、それに答えることができる
一連の文である」と主張した。

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要するに、問いかけ疑問文とは、話者の懐疑論を実際に高め、聞き手からの回答を期待す
るものである。 それらは次のように分類できる。
日本語の問いかける疑問文の分類は 3 つに分けられる。
1. 疑問詞疑問文(補充疑問文)
2. 真偽疑問文
3. 選択疑問文
ベトナム語の問いかける疑問文の分類は2つに分けられる。
1.無選択疑問文
2.選択疑問文
次の部分で、日本語の問いかける疑問文とベトナム語の問いかける疑問文の分類について
さらに詳しく述べる。

2.2

2.2.1

問いかける疑問文の分類

日本語における問いかける疑問文の分類

2.2.1.1 疑問詞疑問文(補充疑問文)

この種類の疑問文の特徴は、「いつ」、「どこ」、「だれ」、「なん」、「なに」、「い

くら」、「どれ」、「どのような」、「なぜ」のような疑わしい代名詞(疑問詞)を含むこ
とである。答えは、質問者の質問に答えるために代名詞に質問することを目的としている。
(1) あの可愛い女の子は誰ですか。

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Cô bé dễ thương kia là ai đấy?
(2)これはいくらですか。
Cái này giá bao nhiêu?

2.2.1.2 真偽疑問文

(3)お刺身が食べられますか。
Anh có ăn được món sashimi khơng?
(4)彼女は外国人ですか。
Cơ ấy là người nước ngồi à?
真偽疑問文では、特定の点を肯定または否定する場合にのみ答えが狭い必要がある。 こ
のタイプの問いかける疑問文の特徴は、疑問詞が含まれていないことである。 必要な回答
は、「はい」および「ええ」、またはいいえで始まる必要がある。
(5)橋本:お酒が飲めますか。
Anh có uống được rượu khơng?
アリ:はい、飲めます。
Có, uống được.
寿太郎:いいえ、飲めません。
Khơng, khơng uống được.

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